SKD材とは?金型材料として使われる理由と種類を解説
金型は、自動車部品や家電、スマートフォン、食品容器など、私たちの身の回りにあるさまざまな製品を大量に作るために欠かせないものです。そして、その金型の性能を左右する重要な要素が「金型材料」です。
その中でも広く使用されているのが「SKD材」です。製造業に携わる方であれば一度は耳にしたことがある名称ですが、「どのような材料なのか」「なぜ金型に使われるのか」を詳しく知らない方も少なくありません。
この記事では、SKD材の特徴や種類、金型材料として選ばれる理由を、専門用語をできるだけ使わずにわかりやすく解説します。
SKD材とは
SKD材とは、金型を作るために使われる工具用の鋼材(鉄を主成分とした金属)のことです。
簡単にいうと、「とても硬く、摩耗しにくい金属」です。
金型は何千回、何万回、場合によっては何百万回も製品を作り続けます。そのため、普通の鉄ではすぐに摩耗したり、変形したりしてしまいます。
SKD材は、そのような厳しい環境でも長く使えるように作られた材料です。
特に次のような金型で多く使用されています。
- プレス金型
- 樹脂成形用金型
- ダイカスト金型
- 冷間加工用金型
- 熱間加工用金型
用途によって最適なSKD材が選ばれています。
SKDという名前の意味
SKDは日本産業規格(JIS)で決められている材料の名称です。
それぞれ次のような意味があります。
- S:Steel(鋼)
- K:工具鋼
- D:金型用
つまり、SKDとは「金型に使用する工具鋼」という意味になります。
実際にはSKD11やSKD61など、数字が付いた種類ごとに性能が異なります。
なぜ金型にはSKD材が使われるのか
金型には非常に大きな力や熱が加わります。
さらに、何度も同じ動きを繰り返すため、材料には高い耐久性が求められます。
SKD材が選ばれる理由を見ていきましょう。
硬くて摩耗しにくい
金型は製品を何度も作るため、表面が少しずつ削れていきます。
摩耗が進むと製品の寸法が変わったり、品質が悪くなったりします。
SKD材は非常に硬いため、摩耗しにくく、長期間安定した品質を維持できます。
そのため、大量生産に適しています。
割れにくい
硬い材料は一般的に割れやすくなる傾向があります。
しかしSKD材は、硬さだけでなく粘り強さも備えているため、衝撃が加わっても簡単には割れません。
金型の寿命を延ばす大きな理由の一つです。
熱に強い
金型によっては、高温の金属や樹脂を成形します。
普通の鉄では熱によって変形してしまいますが、SKD材の中には高温でも硬さを保てる種類があります。
そのため、高温環境でも安定した加工が可能になります。
加工後にさらに硬くできる
SKD材は、加工したあとに熱処理という工程を行うことで、さらに硬くできます。
これによって摩耗しにくくなり、より長寿命な金型になります。
SKD材の主な種類
SKD材には多くの種類がありますが、金型で特によく使用されるものを紹介します。
SKD11
SKD11は最も広く使われている金型材料の一つです。
冷たい状態で金属を加工する金型によく使用されます。
特徴は次のとおりです。
- 摩耗しにくい
- 硬く仕上げられる
- 寿命が長い
- 精度を維持しやすい
プレス金型や打ち抜き金型などで多く採用されています。
一方で、衝撃が非常に大きい用途では欠けることがあるため、用途に応じた選定が必要です。
SKD61
SKD61は、高温になる金型によく使われます。
代表的なのはダイカスト金型や熱間鍛造用金型です。
特徴は次のようになります。
- 熱に強い
- 割れにくい
- 温度変化に強い
- 長期間使用できる
高温環境でも性能が落ちにくいため、多くの製造現場で使用されています。
SKD7
SKD7は衝撃に強い材料です。
強い力が加わる金型や工具などで使用されます。
SKD11ほど硬くはありませんが、その分割れにくいという特徴があります。
用途によってはSKD11より適している場合があります。
SKD11とSKD61の違い
SKD11とSKD61はよく比較される材料です。
それぞれ得意な用途が異なります。
| 項目 | SKD11 | SKD61 |
|---|---|---|
| 得意な環境 | 常温での加工 | 高温での加工 |
| 摩耗への強さ | 非常に高い | 高い |
| 熱への強さ | あまり高くない | 非常に高い |
| 割れにくさ | やや低い | 高い |
| 主な用途 | プレス金型 | ダイカスト金型 |
どちらが優れているというわけではなく、使用する環境に合わせて選ぶことが重要です。
SKD材を使うメリット
SKD材には多くのメリットがあります。
金型の寿命が長い
摩耗しにくく、変形しにくいため、一つの金型を長期間使用できます。
交換回数が減ることで、生産コストの削減にもつながります。
製品の品質が安定する
金型が摩耗すると製品の寸法が変わる原因になります。
SKD材は精度を維持しやすいため、同じ品質の製品を長期間作ることができます。
メンテナンス回数を減らせる
丈夫な材料なので、修理や交換の頻度を減らせます。
結果として設備を止める時間が少なくなり、生産効率の向上につながります。
SKD材のデメリット
優れた材料ですが、注意点もあります。
材料費が高い
一般的な鉄より価格は高めです。
しかし寿命が長いため、長期的にはコストを抑えられるケースも少なくありません。
加工が難しい
非常に硬い材料なので、加工には専用の設備や技術が必要です。
そのため、製作時間や加工費が高くなることがあります。
用途によっては別の材料が向いている
金型の種類によっては、SKD材より適した材料もあります。
例えば、さらに高い耐食性が必要な場合や、鏡のような仕上がりが求められる場合には、別の金型材料が選ばれることがあります。
SKD材はどのような製品に使われている?
SKD材は私たちの生活のさまざまな製品づくりを支えています。
例えば次のようなものがあります。
- 自動車部品
- スマートフォン部品
- 家電製品
- 医療機器
- 食品容器
- 飲料用の缶
- 電子部品
- 建築部材
これらの製品は大量生産されるため、耐久性の高いSKD材を使用した金型が活躍しています。
SKD材を選ぶときのポイント
金型材料は、価格だけで選ぶものではありません。
次のような条件を考慮して選定します。
加工する材料
鉄なのか、アルミなのか、樹脂なのかによって適したSKD材は変わります。
使用する温度
高温になる場合は、熱に強い材料を選ぶ必要があります。
生産数量
大量生産では耐久性が重要になります。
少量生産であれば、コストを重視した材料が選ばれることもあります。
必要な精度
高い精度が求められる製品では、摩耗しにくく寸法が変わりにくい材料が適しています。
まとめ
SKD材とは、金型に使用される代表的な工具鋼であり、硬さ・耐久性・熱への強さに優れていることから、多くの製造現場で採用されています。
特にSKD11は摩耗に強く、プレス金型などの常温加工に適しています。一方、SKD61は熱に強く、高温環境で使用されるダイカスト金型などで広く利用されています。
金型は製品の品質や生産効率を左右する重要な部品です。そのため、用途に合ったSKD材を選ぶことが、金型の寿命を延ばし、安定した品質を維持するためのポイントになります。
SKD材の特徴や種類を理解しておくことで、金型材料の選定や製造現場での判断にも役立つでしょう。
