複合加工機とは?マシニングセンタとの違いを解説
製造業で使われる工作機械にはさまざまな種類があります。その中でも近年、多くの工場で導入が進んでいるのが「複合加工機」です。
しかし、「マシニングセンタと何が違うの?」「どちらを選べばいいの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
どちらも金属などを加工するための機械ですが、できることや得意な作業には違いがあります。
この記事では、複合加工機とはどのような機械なのかをはじめ、マシニングセンタとの違いや、それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
複合加工機とは?
複合加工機とは、1台で複数の加工を行える工作機械です。
通常、部品を作るときには、穴をあける機械、削る機械、丸く削る機械など、加工内容によって複数の機械を使い分けます。
一方、複合加工機はそれらの作業を1台で行えるため、部品を何度も別の機械へ移す必要がありません。
例えば、以下のような加工を1台で行えます。
- 材料を丸く削る
- 平らな面を削る
- 穴をあける
- 溝を加工する
- ネジを作る加工
このように、多くの加工をまとめて行えることから「複合加工機」と呼ばれています。
マシニングセンタとは?
マシニングセンタは、材料を回転させるのではなく、工具を回転させて加工する機械です。
主に平らな面を削ったり、穴をあけたり、溝を加工したりすることが得意です。
加工する材料はテーブルの上に固定され、工具が動きながら目的の形へ加工していきます。
自動で工具を交換する機能があるため、さまざまな加工を連続して行えるのも特徴です。
自動車部品や産業機械、金型など、多くの製品づくりで活躍しています。
複合加工機とマシニングセンタの違い
どちらも金属加工に使われる機械ですが、大きな違いは「できる加工の種類」です。
加工できる内容が違う
マシニングセンタは、削る・穴をあけるといった加工が中心です。
一方、複合加工機は、それらに加えて丸い部品を加工する作業も行えます。
そのため、より多くの加工を1台で完結できます。
機械を移し替える回数が違う
マシニングセンタだけでは完成できない部品の場合、別の工作機械へ移動して加工を続ける必要があります。
そのたびに材料を取り外し、再び取り付ける作業が発生します。
複合加工機なら、多くの工程を1台で行えるため、移し替える回数を大幅に減らせます。
加工精度にも違いがある
部品を何度も取り外して別の機械へ移すと、わずかなズレが発生することがあります。
複合加工機では一度固定したまま最後まで加工できるため、このズレを少なくできます。
その結果、高い精度が求められる部品づくりにも向いています。
複合加工機のメリット
複合加工機には、多くの工場で導入が進んでいる理由があります。
作業時間を短縮できる
機械を何度も移動する必要がないため、段取り替えの時間を減らせます。
加工だけでなく、準備や運搬の時間も短くなるため、生産性の向上につながります。
品質が安定しやすい
材料を固定したまま加工を続けられるため、位置ズレが起こりにくくなります。
その結果、製品ごとのばらつきを抑えやすくなります。
人手不足の対策になる
加工の多くを自動で行えるため、作業者の負担を軽減できます。
少ない人数でも効率よく生産できることから、人手不足への対策としても注目されています。
工場内のスペースを有効活用できる
複数の機械を並べる代わりに、1台で多くの加工を行えるため、設置スペースを抑えられます。
工場のレイアウト改善にも役立ちます。
複合加工機のデメリット
便利な複合加工機ですが、導入前に知っておきたい注意点もあります。
導入費用が高くなりやすい
さまざまな機能を備えているため、一般的なマシニングセンタより価格が高くなることがあります。
そのため、加工内容や生産量を考慮しながら導入を検討することが大切です。
操作を覚えるまで時間がかかる
多くの機能がある分、操作方法も複雑になります。
使いこなすためには、ある程度の知識や経験が必要です。
故障すると影響が大きい
多くの工程を1台で行うため、故障した場合は生産全体が止まってしまう可能性があります。
定期的な点検やメンテナンスが重要になります。
マシニングセンタが向いているケース
すべての工場で複合加工機が最適というわけではありません。
以下のような場合は、マシニングセンタが向いています。
平らな部品が中心の場合
箱型の部品やプレートの加工が多い場合は、マシニングセンタでも十分対応できます。
導入コストを抑えたい場合
設備投資をできるだけ抑えたい場合は、マシニングセンタを選ぶケースも少なくありません。
加工内容がシンプルな場合
穴あけや平面加工が中心であれば、複合加工機ほど多機能である必要はありません。
複合加工機が向いているケース
一方で、次のような製品を作る工場では複合加工機のメリットが大きくなります。
複数の工程が必要な部品
丸く削る加工と平らな面を削る加工を組み合わせる部品では、1台で加工できるメリットが大きくなります。
高い精度が必要な製品
位置ズレをできるだけ防ぎたい製品では、複合加工機が活躍します。
航空機部品や医療機器、自動車部品などでも広く採用されています。
少量多品種の生産
製品の種類が多く、頻繁に段取り替えが必要な工場では、複合加工機によって作業効率を高められます。
どちらを選ぶべき?
どちらが優れているというよりも、作る製品によって適した機械は変わります。
比較すると次のようになります。
| 項目 | 複合加工機 | マシニングセンタ |
|---|---|---|
| 加工できる種類 | 多い | 比較的少ない |
| 工程数 | 少なくできる | 多くなる場合がある |
| 導入費用 | 高め | 比較的抑えられる |
| 精度 | 高い | 加工内容による |
| 生産性 | 高い | 標準的 |
設備を選ぶ際は、「どのような部品を作るのか」「今後どのくらい生産量が増えるのか」を考えながら判断することが大切です。
まとめ
複合加工機とは、複数の加工を1台で行える工作機械です。
マシニングセンタでは複数の機械が必要になる加工でも、複合加工機ならまとめて対応できるため、作業時間の短縮や高い加工精度が期待できます。
一方で、導入費用や操作の難しさといった課題もあるため、すべての工場に最適とは限りません。
平らな部品が中心であればマシニングセンタ、複数の加工を効率よく行いたい場合は複合加工機が適しています。
それぞれの特徴を理解し、自社の製品や生産方法に合った設備を選ぶことが、生産性向上や品質改善につながるでしょう。
