成形加工

プレス加工油とは?役割・種類・選び方を解説

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金属製品をつくる現場では、「プレス加工」と呼ばれる加工方法が広く使われています。自動車部品や家電製品、建築金物、電子機器の部品など、私たちの身の回りにある多くの製品がプレス加工によって作られています。

そして、このプレス加工をスムーズに行うために欠かせないのが「プレス加工油」です。

普段はあまり目にすることのない製品ですが、プレス加工油は製品の品質向上や金型の保護、生産効率の向上に大きく貢献しています。

この記事では、プレス加工油の役割や種類、選び方について、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説します。

プレス加工油とは?

プレス加工油とは、金属をプレス機で成形する際に使用する油のことです。

金属板を曲げたり、穴を開けたり、形を整えたりする際には、金属と金型が強くこすれ合います。そのまま加工すると摩擦が大きくなり、加工がうまくいかなかったり、製品に傷がついたりする原因になります。

そこで使用されるのがプレス加工油です。

プレス加工油は金属と金型の間に薄い膜を作り、摩擦を減らして加工をスムーズに行えるようにします。

人が重い物を動かすときに潤滑剤を使うと動かしやすくなるのと同じような役割を果たしています。

プレス加工油が必要な理由

プレス加工油にはさまざまな役割があります。

摩擦を減らす

最も大きな役割は摩擦を減らすことです。

プレス加工では非常に大きな力が加わります。そのため金属と金型の接触部分には大きな摩擦が発生します。

プレス加工油を使用することで滑りが良くなり、加工がスムーズに進みます。

金型を長持ちさせる

金型はプレス加工に欠かせない設備ですが、製作には高い費用がかかります。

摩擦が大きい状態で加工を続けると、金型が摩耗しやすくなります。

プレス加工油は金型の表面を保護し、摩耗を抑えることで金型の寿命を延ばします。

製品の傷を防ぐ

摩擦が大きいと製品表面に傷や擦れ跡が発生しやすくなります。

特に外観品質が重視される製品では、小さな傷でも不良品になる場合があります。

プレス加工油を使用することで表面品質を維持しやすくなります。

加工時の熱を抑える

金属同士が強くこすれると熱が発生します。

熱が大きくなると製品や金型に悪影響を与える場合があります。

プレス加工油は熱の発生を抑えたり、熱を逃がしたりする役割も持っています。

生産効率を向上させる

加工がスムーズになることで設備停止や不良発生を減らすことができます。

結果として生産性向上やコスト削減にもつながります。

プレス加工油の種類

プレス加工油にはさまざまな種類があります。

加工内容や材料によって適した油が異なるため、用途に合わせて選ぶことが重要です。

一般プレス油

一般的なプレス加工に使用される油です。

曲げ加工や簡単な打ち抜き加工など、比較的負荷の小さい作業で広く使われています。

コストと性能のバランスが良く、多くの工場で採用されています。

絞り加工用油

金属板を深い容器状に成形する加工を「絞り加工」と呼びます。

缶やシンク、自動車部品などの製造で多く使用されています。

絞り加工では金属が大きく変形するため、通常よりも高い潤滑性能が求められます。

そのため専用の絞り加工用油が使用されます。

打ち抜き加工用油

金属板に穴を開けたり、形状を切り出したりする加工で使用される油です。

金型への負担が大きいため、摩耗防止性能に優れた製品が選ばれます。

高負荷加工用油

厚板や高強度材料の加工では非常に大きな力が必要になります。

こうした厳しい条件下でも潤滑性能を維持できるように設計された油が高負荷加工用油です。

金型保護効果も高くなっています。

揮発性プレス油

加工後に油を洗浄する工程を減らしたい場合に使用されます。

加工後に自然に蒸発するため、洗浄作業の負担を軽減できることが特徴です。

電子部品や精密部品の加工などで利用されています。

水溶性プレス油

水で薄めて使用するタイプです。

火災リスクを抑えやすく、作業環境の改善にも役立ちます。

また清掃しやすい点もメリットです。

プレス加工油は材料によって選ぶ必要がある

同じ加工でも、加工する材料によって適した油は変わります。

鉄鋼材料

自動車部品や建築部材などで広く使われています。

比較的多くのプレス油に対応できますが、加工条件によっては高い潤滑性能が必要になります。

ステンレス

ステンレスは強度が高く、加工時の摩擦が大きくなりやすい材料です。

そのため潤滑性能の高いプレス加工油が求められます。

油の選定が適切でないと傷や焼き付きが発生しやすくなります。

アルミニウム

軽量で加工しやすい材料ですが、表面に傷がつきやすい特徴があります。

そのため表面品質を維持できる油が選ばれます。

銅・真鍮

電気部品や精密機器部品などで使用されます。

変色を防ぎながら加工できる油が適しています。

プレス加工油の選び方

プレス加工油を選ぶ際にはいくつかのポイントがあります。

加工内容を確認する

まずはどのような加工を行うのかを確認します。

曲げ加工なのか、打ち抜き加工なのか、絞り加工なのかによって必要な性能が異なります。

加工負荷が高いほど高性能な油が必要になります。

材料との相性を確認する

材料によって求められる性能は変わります。

ステンレスや高張力鋼板など加工が難しい材料では、高い潤滑性能が重要になります。

アルミニウムでは傷防止性能が重視されます。

洗浄工程を考慮する

加工後に洗浄を行うかどうかも重要なポイントです。

洗浄工程がある場合とない場合では、選ぶべき油が変わります。

後工程への影響も考慮して選定する必要があります。

作業環境を考える

作業者が扱いやすいことも重要です。

臭いが少ない製品や煙の発生を抑えた製品など、作業環境への配慮が進んでいます。

また環境負荷の低い製品を選ぶ企業も増えています。

コストだけで選ばない

価格だけで選ぶと、不良率の増加や金型寿命の低下につながる場合があります。

一見すると高価な油でも、生産効率向上や金型交換費用の削減によって結果的にコストダウンになることもあります。

総合的な視点で選ぶことが大切です。

プレス加工油に求められる性能

良いプレス加工油にはいくつかの重要な性能があります。

潤滑性能

摩擦を減らして加工をスムーズに行う性能です。

プレス加工油にとって最も重要な性能といえます。

金型保護性能

金型の摩耗を防ぎ、長期間安定した加工を可能にします。

設備コスト削減にもつながります。

防錆性能

加工後の製品や設備に錆が発生するのを防ぎます。

保管期間が長い製品では特に重要です。

洗浄性

加工後に油を落としやすい性能です。

後工程の効率化につながります。

安全性

作業者が安心して使用できることも重要です。

臭いや煙が少ない製品、環境に配慮した製品への需要が高まっています。

プレス加工油の適切な管理も重要

良い油を選んでも、適切に管理しなければ十分な効果は得られません。

油の供給量が少なすぎると潤滑不足になり、傷や金型摩耗の原因になります。

反対に多すぎると材料の滑り過ぎや作業環境の悪化につながることがあります。

また異物や水分が混入すると性能が低下する場合があります。

定期的な点検や交換を行い、常に良好な状態を維持することが重要です。

まとめ

プレス加工油は、金属加工を支える重要な潤滑剤です。

摩擦の低減、金型保護、品質向上、熱の抑制など、多くの役割を担っています。

また、加工内容や材料によって適した油は異なります。曲げ加工、打ち抜き加工、絞り加工などの加工方法や、鉄・ステンレス・アルミニウムなどの材料特性を考慮しながら選定することが大切です。

さらに、価格だけで判断するのではなく、生産性や品質、金型寿命、作業環境なども含めて総合的に検討することで、より大きな効果を得ることができます。

適切なプレス加工油を選び、正しく管理することは、安定した品質と効率的な生産を実現するための重要なポイントといえるでしょう。

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