アルミのJIS規格とは?代表材質と用途の違いを解説
アルミは、私たちの身の回りで非常によく使われている金属です。窓やドア、スマートフォン、自動車、自転車、機械部品など、さまざまな製品に利用されています。
しかし、一口に「アルミ」といっても、実は多くの種類があります。それぞれ強さや加工のしやすさ、さびにくさなどが異なるため、用途に応じて使い分けられています。
その種類を分かりやすく分類しているのが「JIS規格」です。
この記事では、アルミのJIS規格とは何かをはじめ、代表的な材質の特徴や用途について、専門用語をできるだけ使わずに分かりやすく解説します。
アルミのJIS規格とは
JIS規格とは、「日本産業規格」のことです。
製品の品質や寸法、試験方法などを日本国内で統一するために定められたルールです。
アルミにもJIS規格があり、材料の成分や性能ごとに番号が決められています。
例えば、「A1050」「A2017」「A5052」「A6061」などのように数字で表されています。
同じアルミでも、番号が違えば性質も大きく異なります。
そのため、必要な強さや加工方法、使用する場所に合わせて最適な材質を選ぶことが大切です。
アルミが多くの製品に使われる理由
アルミが幅広い分野で使われる理由は、多くの優れた特徴を持っているからです。
軽い
アルミは鉄のおよそ3分の1ほどの重さしかありません。
そのため、自動車や航空機、自転車など、軽くすることで性能が向上する製品によく使われています。
さびにくい
アルミは空気に触れると表面に薄い膜ができ、この膜が内部を守ってくれます。
そのため、雨や湿気のある場所でも比較的長く使用できます。
加工しやすい
切る、曲げる、穴を開けるなどの加工がしやすく、さまざまな形状の部品を作ることができます。
リサイクルしやすい
アルミは何度でも再利用できる金属です。
再利用するときに必要なエネルギーも少なく、環境にやさしい素材として注目されています。
アルミの材質はどう違うのか
アルミは純度の高いものもあれば、ほかの金属を少し加えて性能を高めたものもあります。
それぞれ特徴が異なるため、用途によって使い分けられています。
代表的な材質を見ていきましょう。
A1000系の特徴
1000系は、純度の高いアルミです。
柔らかく加工しやすいことが最大の特徴です。
また、電気や熱を伝えやすく、さびにも強いため、さまざまな用途で利用されています。
代表材質 A1050
A1050は、1000系の中でも特によく使われる材料です。
主な用途は次のようなものがあります。
- 看板
- 化学機器
- 配管部品
- 装飾部品
- 熱を伝える部品
強度はそれほど高くありませんが、加工しやすさを重視する製品に向いています。
A2000系の特徴
2000系は、非常に強度が高いアルミです。
鉄に近い強さを持つものもあり、高い負荷がかかる部品に使われています。
一方で、さびにはあまり強くないため、表面処理をして使用することが一般的です。
代表材質 A2017
A2017は「ジュラルミン」として知られる材料です。
切削加工がしやすく、精密な部品によく使われています。
主な用途は次のとおりです。
- 航空機部品
- 機械部品
- 金型部品
- 精密機器
高い強度が必要な場面で活躍しています。
A3000系の特徴
3000系は、加工しやすさとさびにくさのバランスが良い材質です。
家庭用品から建築材料まで幅広く使用されています。
代表材質 A3003
A3003は、多くのアルミ製品に採用されています。
主な用途には以下があります。
- 屋根材
- 外壁材
- タンク
- 調理器具
- 空調設備
強度は高くありませんが、扱いやすくコストも比較的安いため人気があります。
A5000系の特徴
5000系は、さびに非常に強いことが特徴です。
海水にも比較的強いため、屋外や船舶関係でも多く利用されています。
代表材質 A5052
A5052は、日本で最も多く使われているアルミ材質の一つです。
加工性、強度、耐久性のバランスが非常に優れています。
主な用途は次のとおりです。
- 機械カバー
- 制御盤
- 建築部材
- タンク
- 車両部品
- 食品機械
迷ったらA5052と言われるほど、多くの業界で採用されています。
A6000系の特徴
6000系は、強度と加工性のバランスが良い材質です。
熱を加えることでさらに強くできるため、建築や輸送機器など幅広い分野で使用されています。
代表材質 A6061
A6061は、強度が高く、機械加工もしやすいことから人気があります。
主な用途は以下のとおりです。
- 機械部品
- 自動車部品
- ロボット部品
- フレーム
- スポーツ用品
精度が求められる部品によく採用されています。
代表材質 A6063
A6063は押し出し加工に適した材質です。
複雑な形状を作りやすく、建築分野で非常によく利用されています。
主な用途は次のとおりです。
- サッシ
- フェンス
- 手すり
- 建築用フレーム
- 窓枠
見た目も美しく仕上がるため、建築材料として高い人気があります。
A7000系の特徴
7000系は、アルミの中でも最高クラスの強度を持っています。
非常に丈夫ですが、加工が難しく価格も高めです。
代表材質 A7075
A7075は「超ジュラルミン」と呼ばれることもあります。
航空機や高性能な機械部品など、高い強度が必要な製品に使われています。
主な用途は以下のとおりです。
- 航空機部品
- スポーツ用品
- 金型
- 高強度機械部品
軽さと強さを両立したい場面で選ばれています。
用途によって材質を選ぶことが重要
アルミは見た目が同じでも、用途によって最適な材質が異なります。
例えば、加工しやすさを重視するならA1050やA3003、高い強度が必要ならA2017やA7075が選ばれます。
一方で、屋外や水に触れる環境では、さびに強いA5052がよく使用されます。
建築材料には加工しやすいA6063、機械部品には強度と加工性のバランスが良いA6061が多く採用されています。
このように、製品に求められる性能によって最適な材質は変わります。
代表的なアルミ材質を比較
代表的な材質を簡単にまとめると、次のようになります。
| 材質 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| A1050 | 加工しやすい・さびに強い | 看板、配管、装飾部品 |
| A2017 | 強度が高い | 機械部品、航空機部品 |
| A3003 | 扱いやすい | 建材、調理器具、タンク |
| A5052 | 強度とさびにくさのバランスが良い | 制御盤、機械カバー、食品機械 |
| A6061 | 強度が高く加工しやすい | 機械部品、自動車部品 |
| A6063 | 建築向け | サッシ、窓枠、手すり |
| A7075 | 非常に高い強度 | 航空機、スポーツ用品 |
アルミ材質を選ぶ際のポイント
材質を選ぶ際は、次の点を確認すると失敗しにくくなります。
まず、どのくらいの強度が必要かを考えます。
次に、屋外で使うのか、屋内で使うのかを確認します。
さらに、曲げ加工や穴あけ加工など、どのような加工を行うのかも重要です。
最後に、コストとのバランスも考慮する必要があります。
必要以上に高性能な材質を選ぶと、価格だけが高くなってしまう場合もあります。
用途に合った材質を選ぶことが、品質とコストの両方を満足させるポイントです。
まとめ
アルミのJIS規格は、材質ごとの特徴や性能を分かりやすく分類するための基準です。
同じアルミでも、材質によって強さや加工のしやすさ、さびにくさが大きく異なります。
加工性を重視するならA1050やA3003、幅広い用途に使うならA5052、高い強度が必要ならA6061やA7075など、用途に応じた選択が重要です。
適切な材質を選ぶことで、製品の品質や耐久性を高めるだけでなく、コストを抑えることにもつながります。
アルミのJIS規格を理解しておくことで、材料選びがしやすくなり、目的に合った製品づくりや部材選定ができるようになるでしょう。
